恋するエネルギーを止めないで。
8月 27

恋するエネルギーを止めないで。

 子どもがつかまり立ちをはじめた瞬間をおぼえていますか。
何度も何度も転んでは立ち、転んでは立ち、を繰り返す、あの光景。
あぶなっかしくて、パパやママはハラハラドキドキ。つい、転ばないように、怪我をしないように手をさしのべて、子どものお邪魔をしてしまう。

 

 最近ではつかまり立ちの際、転倒して「ごっつん」しないためのクッションやリュックまで売られているそうですね。
 大人は安心かもしれませんが、子ども達にとってはとんだ大迷惑です。
 それはいのちのほとばしりを妨げるものであり、たとえるなら、恋するふたりを引き裂く、おせっかい。なにせ、子ども達は誰にも止められない興奮状態なのですから。

 それは生きていくためのエネルギー。自分をとりまく環境のすべてを吸収したいと求めてやまない、生命の衝動です。まさに、恋するエネルギーがほとばしるようなもの。

 

 この生命の衝動が最も高まる時期を敏感期と呼びます。
 子どもには成長に必要なさまざまな敏感期があり、(「秩序の敏感期」「運動の敏感期」「言語の敏感期」「感覚の洗練の敏感期」「数の敏感期」「文化に対する敏感期」など)それぞれ時期やその現れ方に特徴があることをすでにご存知のパパやママも多いはずでしょう。

 

 けれど知識でわかったつもりになることと、目の前でくりひろげられる子ども自身の生命力そのものにしっかり向き合うことは、勝手が違います。

 

 たとえば、レストランなどで子ども達を観察していると気づくのですが、
「口は開けるけど、手は出ない」お子さんが時々いらっしゃいます。

 

 お母さんが「あーん」といいながら食べ物をスプーンで運んであげるので、自分からスプーンを持とうとしない。
 おそらく離乳食のタイミングで子どもが手づかみでものを食べることをママが嫌ったのでしょう。その時は、テーブルは汚れないし、後片付けが楽だったかもしれません。でも、やはりそれは大人の都合です。

 

 残念ながら、そのお母さんは子ども自身の「意志をもって物をつかみたい」という、恋するエネルギーを見逃してしまったばかりか、「食べたい」という生命の根本的な衝動まで奪ってしまったことが、この光景から透けて見えるのです。

 

 その結果、「あーん」と口だけ出して、何でも親に食べさせてもらう子になってしまったというわけです。

 

案の定、そのお母さんはその子の「もういらない」「ごちそうさま」のタイミングをも見誤っていました。
 「これ、おいしいからもう一口食べようか」そういいながら、嫌がる口にスプーンを運んでいました。これでは食べることさえ、嫌いになりかねません。
 恋の相手を無理強いされたら、大人だってそっぽを向きたくなるのではありませんか?

 

 「止めろ」といわれると、かえって燃え上がる恋もありますが、敏感期の「恋するエネルギー」はそのタイミングを逃すと永遠に消えてしまうことがあります。

 

 しかるべき時に、しかるべきことをしなければ、あとで取り返しがつかない。そのことを忘れないでくださいね。

 

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あああ
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