「朝は時間との闘いです」という勇ましい声をお母様たちから、よく聞きます。
確かに、忙しい朝にゆったりとした気持ちで子どもにつきあうことはなかなか難しいかもしれません。
そこでちょっと、気持ちに余裕がある時に一度、朝の支度をなさるときのことを思い出してください。あなたは毎日、子どもの持ち物をひとつひとつ、子どもに確認させていますか?
「時間がないから」という理由で、お母さん自身が気を利かせて、あれもこれも過不足ないようにと、お子さんの鞄にお弁当やらシャツやら下着やらタオルやらを詰めてしまう。そんなことはありませんか?
そうすると、子ども達が幼稚園でどうなるか。想像してごらんなさい。
どこに何がはいっているのかわからない。さあ大変だ。
そこで子ども達は、鞄をひっくり返して、中身を全部ひろげて、ひとつひとつ点検しはじめます。もっともたいせつな「お仕事」のまえに、一仕事が毎朝繰り返されるというわけです。
子ども達がこんな大仕事をしなくてすむ方法があります。それは、朝の支度をする時、ちょっと意識のチャンネルを変えてみることです。
ぜひいちど、子どもの見ている前で、鞄の中身を袋に詰めてください。
口先で中身を言い聞かせるのではなく、やって見せることが肝心。
これが子どものタイミングに合わせるということなのです。 やってみせたほうが、子ども達の記憶に残るからです。
とくにお弁当など、大事なものは「○○ちゃん、お弁当はここね。いちばーん奥ね!」と大げさなくらいに強調して伝えるのがポイント。
目の前で手本をみせれば、お弁当は鞄のいちばん下に入っていることや、体操着はいちばん上、だということをちゃんと自分で理解します。
自分の目で見て、しっかり理解できると、子どもは満足します。すると園に到着した後、鞄の中身をひっくり返さなくても、がさがさ探さなくても、スムーズに取り出すことができます。能動的に探そう、という気持ちが生まれるからです。
子どもが耳で聞いて覚えられることには限りがあります。 大人だってそうでしょう? 聞いて覚えることはなかなか難儀なことです。 ですから、面倒でも一度は、子どもが見ている前で手本を見せる。
実にささいなことですが、子ども達は見違えるほど、自分から動けるようになります。急がば回れという言葉があるくらい。ぜひ一度お試しください。