「僕は、たいしたものだ」こそ、やる気の秘訣。
9月 23

「僕は、たいしたものだ」こそ、やる気の秘訣。

 夏休みやお正月休みなど、長いお休み明けには子どもはとかく、生活のリズムを崩しやすいものです。机の上にお仕事道具を並べただけで、いっこうに手が動かない子。ぼーっと一点をみつめて、ただただぼんやりしている子。

 椅子にも腰かけず、いっこうに「おしごと」をする気配のない子。そんな時もあるものです。

 つねにやる気がみなぎる状態でいるのは、大人にだって難しいこと。

子どもならなおさらです。生命のリズムには緩急のバイオリズムがある。と言っても、あまりに緩みきってしまった場合、どうしたらよいでしょうか?

 

 そんな時こそ、大人である私達の出番です。まさに「援助の」時。

 今日は、やる気を失った子をやる気にさせる方法についてお話しします。

 

 もしも子どもが窓際で、ぼんやり外を眺めていたなら。

 まずは同じように横に並んでみましょうか。子どもの目線に合わせることで、はじめてみえてくる風景があるものです。

 

「あら。ここからだとお庭がこんなふうに見えるのね。お花が風に揺られて気持ちよさそうね」

 

 まずはこんなふうに、子どもの心の状態に寄り添い、共鳴してみましょう。

 そうすると、先生が共感してくれたことで、子どもの心は、ほっとします。

 隣並んで、その子はちょっと照れくさそうな表情をするかもしれません。それは「先生が僕を尊重してくれた」ことが伝わった合図です。

 

 次に、こんな提案をしてみましょう。

 「ここも素敵だけど、もっと広い場所に行ってみましょうか」

 

 子どもを別の空間に連れだすことが目的です。たとえば、私はよく大きなホールへ子ども達を誘います。天井も高く、より広々とした空間で子どもの心を解きほぐしてあげるためです。ホールに行きますと、ピアノの伴奏が聞こえてきたり、他の子ども達の歌声が聞こえてきたり。そうしたら、しめたもの。

肩を揺らしながら、リズムカルに歩いているうちに、眠っていた「やる気」が目を覚まし始めます。

 このように子ども達のリズムを取り戻してあげるには体を動かすことがお勧めです。

 体を動かすことで、たいがいの子どもは自分のリズムを取り戻していきますよ。 

 

 時に、大人顔負けの「援助」を子ども自身が示してくれることがあります。

今日はそんな素晴しい奇跡をご紹介しましょう。

 

 4歳の○○ちゃんは、休み明け、机の上に積み木を並べただけでいっこうに手を動かそうとしませんでした。きょろきょろあたりを見回しては、集中する気配もありません。様子を見るため、しばらく黙って観察していると、奇跡が起きたのです。

 エプロンをした女の子が一輪挿しを手に、○○ちゃんの前を横切りました。

 その女の子は、好きなお花を選んでは、水をはった花瓶に一輪挿して、お友達のテーブルに運ぶ作業を朝から繰り返していました。

 お花が飾られた生活はいいものです。子どもはみな、そのことを知っており、お花が大好きです。それでも自分のお仕事に夢中になってお花に見向きもしないお兄さんやお姉さんもいました。でも○○ちゃんは違ったのです。

 

 自分のテーブルに花が置かれると、鼻をひくひくさせながら、ほくそ笑みました。そして小さな声で、こうつぶやいたのです。「ありがとう」

 その言葉のおかげで、女の子はとてもうれしそうでした。

 でも、それ以上にうれしそうだったのは○○ちゃんです。

 テーブルをお花で飾ってもらった○○ちゃんの顔には「僕は、たいしたものだ」と書いてありました。その時の、誇らしげな表情が忘れられません。

 

 次の瞬間、○○ちゃんはどうしたと思いますか?

 うやうやしく積み木を片付け、もとの場所に戻しました。次に、はめ込み円柱を取りに行きました。そして席につき、ほどなく集中しはじめました。

 

 一輪のお花が、○○ちゃんに尊厳を与え、やる気を取り戻させたのです。

 それは それは、素晴しい一日のはじまりでした。

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あああ
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