「運動」は「脳が司令塔」を意識しましょう。
10月 31

「運動」は「脳が司令塔」を意識しましょう。

 秋晴れに恵まれた運動会。

 子ども達の大活躍に釘付けで、本当にあっという間の一日でしたね。

 元気いっぱいにグラウンドを走る子ども達の姿。玉入れでみせた無邪気な笑顔。心身ともにたくましく成長したわが子の姿に、パパやママも大興奮でした。

 

 パパやママも頑張りました。綱引きやロープくぐりリレーに興じ、童心にかえったパパやママの表情に、子ども達は大喜び。

 

 皆さんはわが子の成長をどんな場面でお感じになりましたか? 

 玉入れでの投球コントロールのよさに思わず、拍手喝采してしまった、というお父様。

 お友達を応援しながら自分の出番を静かに待てるようになった姿に成長を感じた、というお母様。 

 

 おそらく子どもを見守るやさしいまなざしの数だけ、喜ばしい成長の発見があったことと思います。

 

 

 さて、みなさん。子ども達の競技プログラムにも「モンテッソーリ教育」の息吹がしっかりと仕掛けられていたことに、お気づきでしたか?

 

 横浜・モンテッソーリ幼稚園の運動会はいわゆる「筋肉運動の祭典」ではありません。今日はちょっとここで運動会の様子を復習してみましょうか。

 

 ジャケット、帽子、鞄。幼稚園に通うときに必要なアイテムを色合わせしながら色に導かれて順々に着衣し、ゴールを目指した年少さん(3歳)。

 

 ランダムに散らばるカードから1枚をめくり、現れた数字と同じ木版の数字を探す。さらには木製のりんごをその同じ数だけ集め、ゴールで待機する緑の木のボードにフックで器用にかけていた年中さん(4歳)。

 

 五大陸を象ったパズルの「ピース」を選び、その大陸に属する国旗を探し、最後はゴールに掲げられた世界地図にそのかけらと国旗を正しい場所にはめ込む作業を難なくやり遂げた年長さん(5歳)。

 

 どの競技も、いち早くゴールにたどり着くことが目的にしていませんでした。

 「色」、「数」、「国旗」。それぞれに導かれながら、関連性を探り、子ども達自身が自分の頭で考え、行動し、ゴールを目指せるよう、プログラムされていました。

 マリア・モンテッソーリが考える「運動」とは、「脳の欲求」によって指の末端に至るまで自由に使える体になること。脳が筋肉の司令塔となり、運動がなされることを重要視しているのです。

 

 私たち大人はなかなか気づけないのですが、この時期の子ども達は日常生活のさまざまな動きを介して、自由に使える体を手にいれるために、自分で自分の体と心をつくっているのです。

 ここでいう「運動」とは体育館で行うスポーツとは意味が違います。単に命令された指示に対して、見よう見まねで型をまねる筋肉運動なのではなく、この時期の子ども達に本当に必要なのは「自由な体」をつくるための運動なのです。

 いわば、発育にかかわる生命の活動です。

 

 ここでは、年少さんの競技プログラムを例にあげてみましょうか。

 ジャケットを着て、帽子をかぶり、鞄をしょって登園する。何気ない一連の動作ですが、毎日自分の頭で考えて選んでいる子どもは「色」に導かれ、わけなくゴールを目指せます。ところが、何気ない日常生活の動作のひとつひとつを自分の頭を使って考え、選び取ることをしないまま、単なる流れ作業にしている子どもの場合、何をすべきかわからず、おろおろしてしまうというわけです。

 

この日の運動会では、慣れないギャラリーの前でびっくりしたこともあって、立ちどまってしまう子もいましたね。それでもひとり残らず、ゴールすることができました。ゆっくり時間をかけて、「脳が司令塔になる」瞬間を待ってあげれば、子どもは自分で考え、自分で選び取るために、体が動きはじめます。

 

 「脳が司令塔」になる「運動」のチャンスは日常生活の何気ない動作の練習のなかに溢れています。この話はいずれ、また。

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あああ
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