酷暑続くお盆休み。山口県周防大島町で2歳児の坊やが行方不明となり、3日ぶりに保護されたニュースが日本列島をかけめぐりました。何とうれしいことでしょう。本当にご無事でよかったですね。
2歳の子どもがいったい、山の中でどんな時間を過ごしていたのか。ご両親がどれだけ心を痛めたのか。それを考えただけで、胸がいっぱいになります。本当によかった。
2歳児の身体のたくましさにも驚かされましたが、ボランティア活動の男性が捜索のために山に入って、発見されたときに「ここにいるよ」と自ら声を発したことに、何よりも感心してしまいました。
この言葉は、環境に対する信頼関係と自分に対する基本的信頼感が十分に育っていなければ、決して出てこない言葉です。
ああ、理稀ちゃんとお母様は太くて強い「心の紐」で結ばれている。
私は心底、そう感じました。そしてこの先、どんな困難があっても、理稀ちゃんは自分の力で乗り越えることのできる、素晴しい人に成長するに違いないとそう確信致しました。
どんなに離れていても「心の紐」さえあれば、子どもは大人の想像をはるかに超えた素晴しい奇跡を起こします。
では皆さん、この「心の紐」はどのタイミングで育まれると思いますか。
何と子どもが「周りの環境に対する基本的信頼感」を獲得するタイミングは出生からおよそ2か月の頃。その間に母と子で交わされたコミュニケーションに拠るものです。
お母さんやお父さん、周りの大人たちが自分へ愛情深い視線や微笑みを向けてくれているか、この大人たちは自分に対して思いやりのある存在か、そうでないか。生まれて間のない赤ちゃんが見分け始めているのですから驚きます。
大人たちがなかなか気づけない、この真実はマリア・モンテッソーリによって発見されました。さらに、出生からわずか約9か月の間に子どもは社会性の能力をも無意識のうちに飛躍的に発達させるのです。これが自分に対する基本的信頼感の土台をつくります。
出生からおよそ2か月間は「共生期」とも呼ばれ、母と子がともにいることで互いの心と身体がつくられる大事な時間。
特別な母乳を飲むことで赤ちゃんは栄養と安心を与えられ、母乳を飲んでもらうことによって出産で大きくなった子宮が収縮し、お母さんは出産前の体に戻ろうとする。お母さんの母乳は母子を結ぶ血液のようなもの。本当に、人の体の神秘には驚かされますね。
身体のつながりだけでなく、心のつながりは特にたいせつです。
赤ちゃんが泣く。それに応じる。
この繰り返しと、お母さんから受け取った温もりのおかげで子どもは
「この世に生まれてきてよかった」と思えるようになるのです。
お母さん、お父さん、そしてこの社会へとつながる信頼を育んでいるのですから、この時期の母子のコミュニケーションがいかに重要なものかおわかりいただけましたでしょうか。
どうぞ、わが子をしっかりと見つめてください。
愛情たっぷりのまなざしを赤ちゃんに届けてくださいね。
スマホ片手に授乳をしたり、テレビをみながらのながらあやしでは、このかけがえのない瞬間をとりこぼしてしまいます。もったいないですよ。
ママ達も新しい環境に慣れるのに精いっぱいでしょう。
3時間おきの授乳で寝不足で、さぞかし、おつらいことでしょう。
それでも、その瞬く間に過ぎてしまう2か月こそが「心の紐」の太さと固さに大きな影響を与えることを、これからママになる方には、ぜひとも頭の隅にとどめておいていただきたいのです。